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ダイヤモンドの市場の変遷 

 ダイヤモンドの市場は、よくも悪くも一部のプロモーションにのって販売が行われてきた。
古くは「給料の3カ月分」や「10年たったらスイートテン」、
最近ではそのプロモーションもシンジケートの変化により影を潜め、
ダイヤモンド市場に低迷期をもたらしている。

 30年ほど前であれば、大きなバケツに水を入れるようにダイヤモンドは市場に供給されていた。
しかし、現代はそのバケツの容量が減り、多種多様なバケツが市場にある。  
ダイヤモンドの代替品やその他の嗜好品が多種にわたり、プロモーションがない現代においては、
ダイヤモンドに格別な想いを持つ消費者は少なくなっている。
つまり、位置づけされた価値の啓蒙活動が頻繁に行われていた頃は誰しもが簡単に
販売することができたということである。
逆にいえば、社会への啓蒙活動がなければ売るのが難しい商品ということになる。
結果、価格競争になり、特別なものとしての価値を失い消費者にとって興味の対象外になる。

 現代において、消費者は景気、不景気にかかわらず全てが高級品である必要がないと考えている。
例えば、室内着や下着であればユニクロでもよいと考えている消費者は多い。
本当にユニクロの商品が良質だと思っている人は少ないと思う。
もし、そう思っている人が多ければ、その事の方が問題である。
宝飾品においても、ダイヤモンドである必要はない、
スワロフスキーでよいという選択値や嗜好性が主流となりはじめている。

 キュービックジルコニア等の表記がダイヤモンドとなっていても
問題にすることはないと思っている業者も多くいる。
もし、他の業種であれば消費者センターなどが大騒ぎすると思うことが、宝飾業界では何も起きない。
つまり、体に害もないし、一部の消費者のものでしかないダイヤモンドは取るに足らないもの。
ましてや業者自体が両方を扱っている時代でもある。

 ダイヤモンドは今や一部の消費者という小さなバケツに流し込む市場になり、
今後は各社のプロモーションなり、プロの販売員の力による部分が大きな割合を占め、
今までのような材料や重さに偏重した販売はますます市場を小さくし、
価値や価格を押し下げることにしかならない。

 しかし、世界の市場が小さくなった訳ではない。世界の市場はいまだに広がっている。
そこには以前から述べているように、文化としてのダイヤモンドがあり、文化としての宝飾品がある。
日本の市場がこの減少期を超え、再び栄光の日々を迎えることは今後の販売方法にかかわってくる。
改めて言えることは「ダイヤモンドは永遠」であり、それ自体は何億年も何の変化もしていない。
ただそれに携わる人々が変化しているだけである。
われわれは今、「何を商っているのか」を自覚すべき時期にきているのである。


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